2015年2月18日水曜日

神津牧場の近くの氷瀑


 久々のブログです。
 
 神津牧場と荒船風穴の間の沢に、氷瀑がある。氷瀑というのは滝が結氷して氷の滝になったものだそうだ。でも、水の流れが多ければ凍ることはない。適度な水量と気温の低下のバランスで氷瀑が発達する。
 氷瀑の存在を知ったのは3年ほど前のことだった。牧場と荒船風穴のある屋敷集落とを結ぶ山道に数台の乗用車が駐まっている。あの車は何かと聞くと、「氷瀑だ」と教えてくれた。毎年、1月から2月の休日になると朝早くからやってくる。氷瀑でアイスクライミングを楽しむ人たちがいるそうだ。加えて、一言「あんな危ないところ、行かない方がいいよ。」と言われた。いわれると行ってみたいと思う。そのままになっていたので、今年こそと思い、積雪も少なそうで天気も良い、先日(2月11日)に出かけてみた。今回はそのレポートです。

 

 荒船風穴駐車場に車を置いて、軽アイゼンをつけて道なき道に分け入った。幸い、当日は先客の足跡と要所、要所にピンクのリボンがあったので入口を見失うことがなかった。すぐにやせ尾根にたどり着く。高所恐怖症気味のおじさんには第一の難所だが、なんと、ロープが張ってあるではないか。ありがたや!震える足を押さえつつ、急な崖をロープに沿って下る。しばらく行くと、ロープが無くなり、眼下に水の流れる沢が見える。この沢の上流と支流のところに目指す氷瀑がある。とりあえず急な崖を沢に下りることにする。ここで大失敗、沢から支流を探しつつ下ったら、足跡と思っていたのはシカの足跡に変わり、支流らしき沢はいつまでも現れない。だいぶ下流へ来てしまったらしい。しかたがないので、崖の所まで引き返してよくよく見ると、とりあえず下りた所の上流側に、足跡を発見した。ちょっとほっとした。足跡を頼って行くと、「やってる。やってる。」氷瀑とともに、アイスクライミングをしている人の姿が見えてきた。
 
シャイアン(左)とアパッチ(右)、手前の人が命綱を持っている
 
 

 
 
 見上げるとアイスクライマーが鎌のような、金属製の道具を氷に突き立てて、体を確保しながら登って行く。下では相棒が命綱を握っている。つららが邪魔になるらしく、時折、壊したつららが落ちてくる。命綱ははじめに横の崖を登って滑車を取り付けるそうだ。氷に直接穴を開けて登りながら命綱を張ることもあるそうだ。
 氷瀑には名前が付けられていて、写真の右側がアパッチ、左側がシャイアンというそうだ。その他にもコマンチとかナバホとかインデアンの部族の名前が付いている氷瀑がある。私がたどり着いた場所はインデアンサマー広場という名前が付いている。氷瀑の下まで行けるかと思って足を踏み出したら、つるり、滑ってしまった。そこには青く盛り上がった氷が石畳のようになっていた。アイゼンを効かせないとどうしようもない。軽アイゼンでは心許ない。
 
立派な氷瀑を見ていると、このあたりは夏の間はどんなことになっているのか疑問が湧いてくる。ここが滝になっているのか?あるいは枯れ沢になっているのか。夏に来てみたいと思った。
 というわけで、牧場の近くにはこんなところもありますが、屋敷集落からの道は4WDでないと登れません。見に行くだけでも軽アイゼンやヘルメットが必要です。この付近は携帯電話も通じませんので、なめてかかると事故になります。と言いつつ、いつか冬の牧場探検としてこんな所も案内できると良いなあと思っています。(須山)